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ワックス固有の燃焼性を検証する実験

実験内容

ここでは3種のワックス、ステアリン酸蜜蝋カルナウバワックス、それぞれ100%の燃焼テストをします。
【実験目的】燃焼を2回に分け行い、ワックス固有の生み出す炎を検証し、ブレンドの向上に役立てる。
【使用材料】日本製木綿芯:8×3+2、ティーライトカップ(W39mm×H18mm)、座金15×3
【準備方法】各ワックスをカップへ注ぎ、凝固後にカップ縁迄リモールド(1度)。室温(22度)で凝固。
【実験環境】1月末日。暖房作動、室温22度。実験上に照明有。

1回目の燃焼前、芯を9mmに統一する

※芯の長さは9mmにする必要はないが、必ず厳密に統一する。芯の長さは炎の大きさに加担する。

1回目の燃焼、5分後の様子

着火後10分で、ステアリン酸の炎が瞬く間に成長。

1回目の燃焼、30分後の様子

燃焼30分後。ステアリン酸の炎は縮小するも、それ迄の炎の熱により蝋溜まりは最も広がる。

1回目の燃焼、60分後の様子

燃焼60分後。ステアリン酸はこの30分間で急激に縮小。蜜蝋、カルナウバは緩やかに縮小。

1回目の燃焼、90分後の様子

燃焼90分後。ステアリン酸は最小のまま。蜜蝋は僅かに縮小するも、最も安定した燃焼。

1回目の燃焼、90分を終えて凝固した様子

1回目の燃焼90分を一旦消火。溶けた蝋が、凝固した表情や現象、色合いも確認する。

2回目の燃焼、5分後の様子

2回目の点火から5分経過。炎の高さ(それに伴う印象)は、やはり1回目と違う。

2回目の燃焼、30分後の様子

2回目、30分経過。時間の経過と共に、炎は緩やかに小さくなる。

2回目の燃焼、60分後の様子

2回目、60分経過。カルナウバは、急激に炎が縮小。蜜蝋は、3種の中で最も安定性が高い。

2回目の燃焼終了

1回目と2回目で計150分の燃焼を終了。消火後3時間経つ凝固の様子。まだ数十分の燃焼は可能。

結論

150分間の燃焼から、それぞれの炎の特徴を以下に考察します。

ステアリン酸100%を使用した炎について
総じて燃焼性は優れていない。燃焼部にブレンド使用する場合は、安定した炎に向けて、他の燃焼性に優れたワックスとのブレンドを、幾度となくテストする必要がある。しかし、ステアリン酸はユニークな質感や表情を持つため、芯から離れた外側でのマチエールに活かす使用目的にシフトしても良い。
ステアリン酸の写真や詳細は、当オンラインショップにも掲載しています。
蜜蝋100%を使用した炎について
大きさの変動が少なく、キャンドルの炎に最も求める安定感のある炎です。今回は中太の芯(8×3+2)で直径40mm弱のカップで実験をしており、燃焼当初はこの直径では炎は大きい。そのため、最初の芯を僅かに短くカットして点火するか、より細い芯を選ぶ、または炎が小さい傾向のワックスをブレンドする等の調整案が挙げられる。またピラーキャンドルにする場合には、蜜蝋の粘性が表面に現れないよう、ブレンドや技法などで工夫があるとより良い。
蜜蝋の写真や詳細は、当オンラインショップにも掲載しています。
カルナウバワックス100%を使用した炎について
総じて炎が小さく、今回使用した芯では、細過ぎることが分かる。そのため、これをもとに直径に応じてより太い芯を選び再度テストが必要。また炎の安定性も低いため、カルナウバワックスよりも逆の性質(柔らかい、融点が低い、燃焼性が高い、安定感がある)のワックスとのブレンドが好ましい。そのことで、カルナウバの特徴がより一層引き出せ、望む安定した炎になるだけではなく、個体としての強固さと滑らかな質感、かつ保存性の向上に繋がる。
カルナウバワックスの写真や詳細は、当オンラインショップにも掲載しています。


※今回の実験では、ワックス固有の炎の特徴を知るために3種を同時進行でテストしているため、結論では比較した検証に留めています。しかし通常製作での実務上では、デザイン哲学(目標)をもとに、炎の大きさ、材料を限定した後、本テストに入る流れが自然です。そのため、実験の結論は比較(相対的)検証ではなく、その絶対的な目標(デザイン哲学)に対しての検証によって結論づけることが、生きた実験に繋がります。

※こちらでは手軽に燃焼テストが出来るキットを販売しています。
※燃焼実験の見方や注意点、キャンドルの共通目標など、より深く学ばれたい方は、
ご要望に応じ「キャンドルづくりの手引き」の内容を一部変更してお伝えします。

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